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京都地方裁判所 昭和42年(ワ)470号 判決 1967年7月20日

原告

平安ホンダ販売株式会社

右代表者

荘健郎

被告

大崎宗一

主文

本件仮執行宣言付支払命令(京県簡易裁判所昭和四二年(ロ)第二八七号、昭和四二年三月二七日付支払命令、昭和四二年四月二〇日付仮執行宣言)を認可する。

(ただし、訴の一部取下により、

「請求の金額

一金一、八一三、〇〇〇円及び内金

(1)金二二〇、〇〇〇円に対しては昭和三八年一一月一九日から」は、

「請求の金額

一金一、六九三、〇〇〇円及び内金

(1)金一〇〇、〇〇〇円に対しては昭和三八年一一月一九日から」と、変更されている。)

訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由

原告代表者は、主文同旨の判決を求め、

被告は、「本件仮執行宣言付支払命令を取消す。原告の請求を棄却する。」との判決を求めた。

仮執行宣言付支払命令に対する適法なる異議申立により移行した訴訟においては、督促手続におけると同一の請求についてその当否を審判すべきものであるが、右訴訟においてなさるべき判決においては、仮執行宣言付支払命令の認可または取消を宣言するのが相当であり(最高裁判所昭和三六年六月一六日第二小法廷判決民集第一五巻第六号一五八四頁)、仮執行宣言付支払命令を認可した場合には、その認可された仮執行宣言付支払命令が債務名義となると解すべきである。

右と同じく、手形の終局判決に対する適法なる異議申立により開始された通常手続においては、手形訴訟手続におけると同一の請求についてその当否を審判すべきものであるが、右異議後の通常手続においてなさるべき判決においては、手形訴訟の判決を認可または取消の判決をすべきであり(民事訴訟法第四五六条第四五七条)、手形訴訟の原告勝訴の判決を認可した場合には、その認可された手形訴訟の原告勝訴の判決が債務名義となる。

ところで、手形訴訟の終局判決に対する異議後の通常手続における判決に事実及び理由を記載するには、手形訴訟の判決を引用することができる(民事訴訟法四五九条)。

したがつて、仮執行宣言付支払命令に対する異議申立により移行した訴訟においてなさるべき判決に事実を記載するには、民事訴訟法第四五九条を準用し、仮執行宣言付支払命令を引用することができると解するのが相当である。

原告主張の事実は、本件仮執行宣言付支払命令請求の原因記載と同一であるから、ここにこれを引用する。

被告は、答弁として、

「原告主張の事実を認める。」

と述べた。

なお原告代表者は、本件仮執行宣言付支払命令の請求の原因一の(1)記載の手形(金額二二〇、〇〇〇円)についての請求を「金一〇〇、〇〇〇円およびこれに対する昭和三八年一一月一九日から支払済まで年六分の割合による法定利息」に減縮して訴の一部をなし、被告は、右訴の一部取下に同意した。

原告主張の事実によれば、原告の本訴請求は、正当として、これを認容すべきである。

よつて、民事訴訟法第八九条を通用し、主文のとおり判決する。(小西 勝)

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